木造艇(会報)号外 2005/04/20

日本ウッディンヨットクラブ事務局発行

日本有数のバーニッシャーに聴く!!木造艇のニス塗りの極意とは??

輝くようなニス塗りは木造艇を愛する人達の永遠のテーマ!! 夢でもあります!!さて、そんな皆様を代表して、木造ヨットを愛し、数々の名艇のニス塗りを手掛けられた宮崎氏に、名艇《カムシン》の忙しい作業中に,お話を伺いました。

バーニッシャー(Varnisher)!?

欧米のハーバーには、ニスが ビカビカ に光輝く、惚れ惚れする木造艇を目にしませんか??
そんな、アメリカではニス塗りに命を掛ける、誇り高きプロの《ニス塗り職人》(Varnisher)が存在しています。
日本では?? まぁ〜、ゆっくり観て、ご判断して下さい。


「ん〜ん、スイート!!」この輝き!!見事っす!!
ちょうど、ハル(船体)のニス塗りが終了したばかりの姿です。
マストは下ろされています。船内もニス塗り中でした。


《カムシン》のニス塗りについて

★  ニス塗りの回数は? 
⇒ 17回
(つまり、サンディング→クリーンアップ→ニス塗りのサイクルを17回行った事になります。)

★  塗り方は ハケ 、 スプレー どちらですか? : 刷毛

★  ハケ 、 スプレー の違いは??
⇒ 両方良い処と悪い処があるので、一概には言えないそうです。
塗る場所やお客様のリクエストによって使い分けするそうです。。。

★  使用したニスの種類は?
⇒ オランダ製のニスだそうです。
(パッケージの写真を撮り忘れました。残念。。。切腹!)

★  今回のカムシン、ニスの色が濃くなったって感じィ〜?
⇒ 「色を変えてみた。」そうです。
なんか、精悍な印象と感じるのは私だけでしょうか?

★  ハルのニス塗りって難しいんじゃないですか??
⇒ ハル(船体)はヨットという機能上、当然 [ ナル ] だそうです。
又、伸び縮み(細くて長い木材を使っているからでしょうか?)があるそうで、非常に難しいそうです。
「木は動いている」、「朝と夕方では、木の目が違う。」
その木目を観察しながら、ニスの乾燥も考えて、温度、湿度、風の強弱等を予想して作業をするらしい。
「だから、なかなかスケジュールがたてられない。」との事。

★  気が遠くなる様な作業っすね??
⇒ 「商業ベースには乗らない作業ですねぇ〜。作品として考えないとォ〜(笑)」
やっぱり、木造艇&ニス塗りが大好きなんですなぁ〜。


な・なんと、17回のニス塗りを終え、作業中の宮崎氏(左)
ハル(船体)のニス部の写りこみにご注目!!(右)これが17回目の輝き。


ニスの種類について

★ このニスは最高って言うニスはあるの?
⇒ 「無い!!」(断言)でした。
それぞれ良い処と悪い処があるそうです。
塗る場所の環境(内部・外部)(紫外線量)(塗る木材 ソリッド・合板)、色の好み、輝き具合、
お客様のご要望等から判断するそうです。 ん〜ん、深い。

★ どんなニスを今まで使用されましたか??
⇒ 大体、ウエストマリン等で売られているニスは使用してみたそうです。 ★ ウレタンニスも使いますか??
⇒ 「ウレタン系はキズに強い為、ソリッド部分を塗装するのには良い。」


ニス塗り作業について


作業中の宮崎氏
海に浮かべるのが、正直言って。。「勿体ない」って気持ちになります。

走る高級家具じゃぁ〜!!


★ ニス塗り作業のポイントを教えて下さい。
⇒ 「70%〜80%が下地作業です。」との事。
地味な作業なんですなぁ〜。

★ ニスの濃さは、やはり回数を重ねるたび [ だんだんと濃く ] するのですか??
⇒ 「はい。最初はごく薄くしないと、簡単に剥がれてしまう。
ただ、だんだん濃くとも言えない。天候、温度、湿度、風等 その日のコンディションにあわせて調整が必要。」

★ ペイント薄め液はやはりこだわりがあるのですか??
⇒ 「DIYショップで売られている薄め液は使わない。
日本酒で言えば、[大吟醸]にあたる、薄め液を使っている。」との事。


《カムシン》の前には
あの《ケイセブン》が!!
ニス塗りが完成したばかりとの事で。。。つい、写してしまいました。
カムシンもケイセブンも
非常にセクシーなお尻
ヤッパ、船は 後ろ姿 !!
チョイト、失礼して、お尻の激写!!
美しい。


これぞ、ニス塗りの極意!!
宮崎氏から木造ヨットを愛する人へのメッセージ紹介

ニス塗り等の細かい技術は後から付いてくる!!
船を思いやる気持ちを大切にして下さい!!

船を[可愛い] と思う気持ちが大切にして下さい。
その気持ちがあれば、チョットした時間を作り船に通う。


取材後記 :

皆様もそうでしょうが、ニス塗りには苦労が多い。
宮崎氏に【簡単・綺麗なニス塗り法】を聞けるかなぁ〜って、甘い考えを抱いていましたが、
現場とその話を聞いて圧倒されました。そんな美味しい話は無いと実感しました。
《木造ヨット》を愛する気持ち!!それが、一番の大切なモノなのだと・・・・
ん〜、深い!!
何回も何回も、納得するまで、ハルのライン用マスキングテープを張り直す、
ニス塗り職人!宮崎氏の姿が印象的でした。
貴重なお時間をありがとう御座いました。

今回の欧米のハーバーには、ニスが“ビカビカ”に光輝く木造艇を目にしませんか??
そんな、アメリカではニス塗りに命を掛ける、誇り高きプロの《ニス塗り職人》(Varnisher)が存在しています。
日本では存在する??しない??
その答えは、次のレポートをみて下さいね♪

2006/06/22 13:57:49

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